3月26日  パラダイス!!

朝さっさと起きて朝飯をかっくらい、民宿Xをチェックアウト。子どもの分は食事代も取られなかった。そこのところは良心的。昨日から借りているレンタカーで「海の家族」まで。荷物と家族を降ろし、今度はひとりでレンタカー屋まで走って車を返す。そこからは徒歩で。天気はいい。今日一日暖かくなりそうだ。朝の陽を浴びて道をテクテクと「海の家族」まで歩く時間が心地よかった。赤瓦の上のシーサーの写真をとったり、朝の空気を吸いに外に出てきた島のおばあたちと会釈をかわしながら、ぶらぶらと行く。島に来た実感が沸々と沸き起こってき始めた。今日は1日ビーチ遊び。楽しみだ。



















     

小林さんのパジェロに乗り込みビーチに。ラゲッジにはなにやら遊び道具がぎっりし積まれている模様。川平から国道49号を北上。因縁の米原海岸を過ぎ、ちょっと走った所で未舗装の道に入った。パジェロのレンジを4WDに切り替える。小林さんの知り合い所有の完全プライベートビーチ。もちろん誰もいない。「秘密のビーチ」といったたたずまい。いい。すごくいい。ももはクルマから降りるや否や、しゃがみこんで貝拾いが始まった。小林夫婦が車でもと来た道を戻って行き、奥さんがひとりで運転して戻ってきたかと思ったら、小林さんが船で海からで参上。かっこいい。真っ黒のゴムウェットで、しかもビーバーテールといったウミンチュ姿。すっくと操縦して我々に近づいてくる姿に見とれた。

これに乗り込んでちょっと沖のリーフまでシュノーケリングに行くという。船で行くとは思ってもいなかった。うれしいショック。いいぞいいぞ。もうおいらは完全にワクワクしきっている。ウェットスーツを着て、船に乗り込み、風を切って海の上を走る。陽射しもどんどん強くなってきた。ああ、気持ちいい。そう、この海の香り、海の色。またダイビング復活しようと心に誓った。








    


最初にお父さんとももでシュノーケリング。船のアンカーを降ろしたところはちょうどリーフのサンゴ礁が盛り上がっていて、大人は背が届くところだった。エントリー用の場所を選んでくれたんだろう。海中を覗くと、いやはや、きれいきれい。変化にとんだリーフにはホネサンゴ、テーブルサンゴ、脳サンゴがひしめき、大きなヒレシャコガイがお口をぱっくり開けていて、お魚たちは舞い踊る。透明度も抜群で太陽光線を受けて、色鮮やかな海底景色。リーフから外に出るとなだらかに落ち込んでいて、ブルーがだんだん濃くなり、深みに誘い込むかのよう。タンクを背負ってたら絶対入ってみるだろうな、と思うようなトンネル状のところやリーフとリーフの溝、オーバーハングしているその下の洞窟状の部分によだれが出そうになる。

一度船に戻り、寝ているひなのを小林奥さんが抱いてくれて、のんちゃんも参加。エントリーの仕度待ちのとき、海底に30センチくらいのシャコガイの貝殻を発見。でかい。水深4・5メートルくらいの所。これがちゃんと蝶つがいが壊れていない2枚もの。ぱっくりと口を開けてる。とっさに潜る。慌てて耳抜き忘れてつらかったがゲットだ。



石垣島の海のスライドショー


のんちゃんのシュノーケリングの勇姿を撮影する前にカメラのバッテリー切れ。残念。のんちゃんもこのきれいな海に大感激。ずっとこのままここで泳いでいたい。ウェットさえ着ていれば何時間でも泳げる水温と天気である。

浜に戻り昼飯。これが豪華。さざえをその場でつぼ焼き。小林さんが潜って獲ってきておいた伊勢エビが2匹。これも焼く。トーフチャンプルの味も本場の家庭の味。アーサ汁の磯の香りにまいる。これらを堪能しつつオリオンビール。ああ、もうサイコー!!仕上げのおにぎりの中は「アブラ味噌」これがうまい。絶対買って帰ろう。









   

小林さんはもともと東京人。なんと同じ中野区民だったというではないか。13年前にダイビングで訪れてから、この海にやられてしまった人だ。そんで海人(ウミンチュ)に転身。よくある人生。よく聞く人生。だけどなかなか勇気ある選択。多分この俺もどっかが間違えば歩んでいたはずの人生だからよくわかる。十分理解できるし、すばらしいことだとも思える。一段と親近感が増す。奥さんは石垣の人で、二人の間には3歳の男の子がいるらしい。奥さんは幼稚園の先生で今は春休み。子供の扱いがうまいはずだ。ももが『涙そうそう』を歌い始めるとやはり夏川りみの話に。奥さんの幼稚園に夏川りみのお姉さんの子供が通っていて、お姉さんがそれはそれはりみちゃんと瓜二つであること。やっぱ、島は狭い。

昼食が終わって午後のビーチ遊びが始まる。浜の右側の陸の根を乗り越えると、視界が開ける。遠く円弧を描く白浜のビーチが延々と続く。山下達郎の曲が頭で鳴り出しそう。ここも完全プライベート。貸切である。もうたまらん。ここで貝殻拾い大会。採集大好きのももがはしゃぐ。打ち上げられた貝やサンゴに混じる空き缶やペットボトルなどはほとんどハングル文字だ。一番近い陸地は沖縄本島でもなく台湾なんだと実感した。







貝拾い。いいと思う貝殻はたいていヤドカリくんに先取りされている。その都度あきらめるが、とうとう、あきらめるに忍びないすばらしい貝殻を見つけた。小林さんもこれを見逃すのはあまりに惜しいと、奥の手を伝授してくれた。この手を使えばヤドカリ自体を傷つけることもなく、貝殻だけを略奪できる。しかし、安住の我が家をいきなり奪われ、指につままれたヤドカリはあまりに赤裸々で不憫。ももが裸にされたかわいそうなヤドカリ君の横にちょうどいい大きさの貝殻を添えてやって、ながめている。「うーん、なかなか入んないな。これじゃいやなのかな。」

そんな姿を見ると、乱獲は控え、その後は、きれいなヤドカリであっても潔くあきらめることにした。ヤドカリ君たちの住宅事情の悪化を考慮して、ここにその方法を書くのは控えよう。


 

 

 

  


海辺のスナップのスライドショー


その後、また元のビーチの我らの「ベース基地」にもどる。日に照らされポカポカしているゴザに横になり、脚を伸ばすと、うとうとし始める。ああ、気持ちいい。潮風にそっと吹かれながら昼寝だ。これもビーチ遊びの予定内。浮世を忘れる束の間のパラダイス。悦楽の極み。これぞこの世の極楽。

目を覚ますと、ももがはしゃいでる。いや、いつ目を覚まそうが常にはしゃいでいるわけだが、今度は小林さんと貝のアクセサリー作り。彼持参のタカセ貝をホエールテイルの形にサンダーでカットし、それを削って、磨き、仕上げの水ヤスリをかけた後、ピカールで磨き、革ひもにビーズで飾ってネックレスの完成。すばらしい。やってくれるね、彼は。こういうのがももにとっては最高にうれしいんだ。









朝9:00から夕方6:00まで、こんな風にずっとビーチで遊ぶ。夕方6時といっても真夏のようにまだ明るく、車の中で時計を見てはじめてこんな時間だったんだと思い知らされたほど。ももは「えー、まだお昼過ぎだと思ってた」だって。子供にとってはまさに竜宮城で過ごしたような感覚なのだろう。時間の感覚が麻痺するくらい楽しかったということだ。こうやって島の時間の流れにどっぷり浸かることが出来た。こんな風に過ごしたのはいったいいつぶりだろう。もう、満足を通り越して感動である。

先ほどまで寝入っていたひなのが薄暗くなりつつある帰り道の車内で目を覚まし、朝になっちゃったと思い込んでる。ひなのにとっても、それほど濃厚な時間だったんだろうと、延枝と感心しつつ、宿までのドライブ。

宿に帰り、バーベキュー小屋で夕食。石垣牛の量にびっくり、味に感激。泡盛のおかわりが進むにつれ幸福感も増してくる。ももひなはさっさと食事を終わらせて、宿の犬、ハナとモモと遊んでいる。名前が同じで喜んでいる。2匹ともいい感じの雑種犬だ。鉄筋コンクリート造の犬小屋を持つ恵まれた環境。ももにもひなのにもすっかりなついている。ポーチのベンチでコーヒータイム。のんちゃんのお気に入りの場所になった。







部屋で、2台のデジカメのデータをパソコンに読み込む。そしてみんなでスライドショウ。面白い感覚に陥った。なんかまだ2日しかたっていないのに、昨日の空港での写真など昔の事の様。3泊4日の旅行なんてあっというまに終わってしまうが、こういう風に旅先でリフレインすることで、現在進行中の旅行をその場で噛み締めることができ、その日一日の旅の出来事を、記憶の新鮮なうちに楽しめる。これが面白い効果を生み出すことに気づいた。パソコンにより、旅の楽しみ方も変わる。

決してピーカンというわけでなく、照ったり陰ったりの天気であったのに、ほんのり陽に焼けた腕などが熱いシャワーにヒリヒリする。ももは1日中、採集姿勢であったため、うなじを見事にやられていた。
風呂から出るや、ベッドに倒れこむ。小型のFMラジオを持ってきていたので、本来ならば部屋でもiPodの約500曲ばかりのシャッフルプレイが楽しめるはずだったが、やっぱり、ダメなものは何度やってもダメだ。イヤホンを着ければ聞けるが、あくまでも欲しいのはBGMであり、イヤホンを着けてまで聴きたいとは思わないんだ。が、ベース向けなのか、ちょっとファンキーなラジオ局があって、これがなかなか。体がゆれた。

今後のために

ビーチスニーカーはいいようでいまいち。ビーチ遊び、磯遊びにはダイビング用のマリンブーツが一番だということが解った。くるぶしまであり、ぴったりしているので、砂が入らないし、安全。ビーチサンダルも浜では案外使いにくいし、岩場では危険。海遊び、磯遊びの後、ブーツ内の水が気持ち悪い場合はビーチサンダルと併用すればいい。それも最近よく見るスニーカーとサンダルを足して2で割ったようなタイプのは、意外に良くない。たしかにフィット感はあるが、一度砂が入ると、脱いで海水で洗い落とす手間がかかる。普通のビーサンは履いたままささっとゆすげばいい。フィットが必要な磯遊びなどではマリンブーツにすればいいし、ゴロゴロして過ごす時はビーサンにすればいい。次回こういう旅の時はマリンブーツとビーサンを全員分調達できればいい。また、貧乏根性をおこさず、子供用のブーツは大きめなものでなく、ぴったりのものにしてやろう。あれに砂が入ったんじゃ意味なしというもの。
それでやはり、水に濡れた遊び道具をいっきにまとめて投げ込めるメッシュバッグもあればあるほうが便利。

夜。
知らぬうちに眠りをむさぼっていた。
1時に目が覚めて、日記を書き始め、もう5時。寝床に入り直すが、もう鳥が泣き始めた。そのまま朝を迎える。